思えば子供の頃からずっと痩せ過ぎがコンプレックスでした。小学校の低学年の頃はそれでも、学校のプール授業でスクール水着に肋骨が洗濯板のように浮き出ていても、周りの子達も同じような感じでしたし、水に入る楽しさの方が勝ってあまり気にならずにいました。

小学校のプールサイドに腰掛けた子供達の画像

けれども小学校の高学年にもなると周囲の女の子たちは体型が徐々に大人びて、それに比べて自分はいつまでも洗濯板のままで、楽しかったプールの授業もだんだん憂鬱になってしまい、仮病で保健室にいることが多くなりました

中学生になるころには周囲に比べても痩せ体型が目立つようになっていて、体力も乏しく、運動全般に苦手意識を抱くようになっていました。日光に当たらないので肌も青白く、男子がヒソヒソと私のことを「ガイコツ」と呼んでいることを知ったときは、本当に傷つきました。

 

痩せ過ぎで太りたい...暴飲暴食以外の太り方は?

私が不毛な努力を始めたのは、同級生から「ガイコツ」とあだ名されていることを知って、深く傷ついたことがきっかけでした。

もともと食が細く、あまり運動もしていなかったので空腹を覚える機会も少なく、子供の頃から食べることに執着が薄かった気がします。けれどもガイコツとあだ名されたことはやはり悔しくて、「絶対に太ってやる」と決意した私は、無理をしてたくさん食べることを始めました。

とは言っても食べたくもないのに量を食べるというのはけっこう苦痛で、たくさん食べた後は長時間お腹が張って胸もムカムカするし、夜に良眠できなかったり、下痢が続いたり・・・ダイエットに取り組む人の努力と一緒で、私のデブエットもごく最近までは挫折と奮起との繰り返しでした。

でも、ある出来事をきっかけに私は太る努力の仕方を見直して、体重もどうにか標準体重まで増やすことが出来ましたし、何よりも格段に体力がついた実感があります。いつも無気力で内気だった私が、現在は看護師になるための勉強を頑張っています。

この記事では、痩せ過ぎで悩んでいる方に向けて、私自身が「太りたい」と願いながら行った取り組みをもとに、おおむね以下のような点についてお伝えしていきます。

1.私自身の痩せ過ぎエピソード
2.健康的に体重を増やす食事の取り方
3.体重を増やすための運動の必要性

世の中にはダイエットについての情報は溢れていますが、痩せ過ぎを改善するための正しい情報は多くはないと感じています。私自身の体験が、以前の私と同じようにつらい思いをされている方の参考になれば幸いです。

 

ガリガリだった同級生がスキンヘッドマッチョに!?

二十歳の成人式は出席を見合わせようと思っていました。自分の容姿にコンプレックスが強かったし、かつて「ガイコツ」とあだ名されたトラウマか、同級生と顔を合わせることに憂鬱な思いもありました。

でも、晴れ着の準備をしてくれた両親に申し訳ない思いもあって、あまり気はすすまなかったけれども、成人式には出席することにしました。

案の定、着物の試着の際も着付けのスタッフが「スマート過ぎて帯が余っちゃいますね」とお腹まわりに詰め物をしながら、「痩せててうらやましい」を連発していました。

それでも成人式の本番では、着物が体型を隠すのか、それとも周囲が大人になったのか、心配していたように体型について何か言われるような場面はありませんでした。それよりも私にとって収穫だったのは、一人の男子同級生との再会でした。

成人式の晴れ着姿の女性

はじめ、私は彼を知らない人だと思っていました。スキンヘッドに細い銀縁のメガネ、肉厚な体に映画のインテリヤクザのような光沢感のあるスーツ・・・強烈に人目を引く出で立ちではあるものの、ジロジロ見てはいけないタイプの人だと周りの誰もが思っている様でした。

でも、何故かそのスキンヘッドがかつてのクラスメイトの男の子たちと親しげに談笑しています。

その笑った表情を見て、不意に私の中で青白く痩せた少年の姿がフラッシュバックしました。全く別人のように見えていましたが、そう思ってみると、彼は間違いなく小学校で同じクラスだった太郎(仮名)君でした。

 

食べても太らない原因は…

太郎君は中学校からはどこか別の地域に引っ越したので、姿を見るのは小学校以来でした。私はずっと痩せすぎに悩んできたので、彼の変容ぶりがとても気になって、けれども自分から声を掛けることもできずチラチラ見ているだけでした。

けれども、そんなふうにしていて何度目かに目が合ったときに、彼はこちらに向かって歩いてきて、笑顔で話し掛けてくれました。

「花(仮名)ちゃんだよね。晴着姿でちょっと分からなかったけど」

「うん。太郎君も別人みたいになってて、私も知らない人だと思った」

そんなやりとりから、私は自分が痩せすぎに悩んでいることを少しだけ彼に話し、どんなふうにして見違えるほどに大きくなったのかを、興味のままに彼に尋ねました。

「俺の場合は小児喘息もあったんだよね。それで中学からは空気のきれいな海辺の地域に引っ越したんだけど、中学校の2年ぐらいまではガリガリのままだったよ。自分も結構コンプレックスだったな」

彼はそんなふうに小学校を卒業してからのことを話してくれました。

「体を大きくしたくて牛乳をガブガブ飲んだり、無理に食べたりしたけど、すぐに下痢しちゃったりして、ダメな時はダメだったね。でも中3の頃から急に背が伸びだして、何を食べても美味しくて、いつの間にか喘息の発作も起きなくなってて。そのあとは地元の水産高校へ行って・・・相撲部に入ったんだよね」

「相撲部?太郎君が?」

「そう。あそこの高校は相撲部が強くて、自分は相変らず背が伸びただけのヒョロガリだったけど、思い切って入っちゃった。ずっと貧弱だった反動というか、デカくて頑丈な体に憧れてたんだね・・・」

相撲部の「稽古」はとてもハードで最初はついていけなかったけれど、それでも2年に進級する頃にはだいぶ体が違っていたと、彼は話しました。

「毎日めいっぱい運動するから、とにかく腹が減ってモリモリ食べる。カレーなんかラーメンドンブリで食べておかわりしてたな。カレーは飲みものって言うけど、本当だと思ったね」

いかついインテリヤクザのような太郎君は見かけによらず陽気に笑い、相撲部の話しを面白おかしく聞かせてくれました。そして、私が成人式に抱いていた憂鬱は、彼との会話ですっかり晴れていました。

「無理に食べるのは止したほうがいいよ。食べることが楽しくなくなるし、内臓を疲れさせるだけで、たぶんそれでは太れないから。健康的に体重を増やすには、まずは筋トレなんかの運動をして、お腹を空かして、食事は楽しく、食べたいものを美味しく食べる。それが大切だと思うよ」

言われてみれば確かに私はスポーツもしないし、食べることに意欲的になれないのは、そもそも空腹を知らないからだと気付かされました。

現在は地元の水産加工会社の営業マンだという太郎君は、食べ物や栄養についても意外なほど詳しかったし、子供の頃に病弱だったためか、人の体の生理的な働きについても勉強している様でした。私は最後にもう一つ彼に質問をしてみました。

「太郎君みたいにコワモテでも営業マンってつとまるの?」

すると、彼はすかさず手を耳に当てて

「えっ?誰がコワモテだって?」

と、とぼけてみせてから、スキンヘッドをくるくると撫でて

「人は見た目じゃないよ!」

彼はそう言って、少年の頃の顔で笑いました。

 

少食でも体重を増やすには

成人式での太郎君との会話を機に、私は太るために無理に食べることをやめました。

「健康的に体重を増やすには、運動をしてお腹を空かして、食事は楽しく、食べたいものを美味しく食べることが大切」

そんなふうに言った彼の言葉は、とても当たり前なことを言っているだけのようですが、私はそれが出来ていなかったし、そもそも生命力のようなものが乏しい体では、太ることなどおぼつかないのだろうとも思いました。

そして、私はまず自分にできる運動に取り組んでみることにしました。選んだのはウォーキングとスクワットです。

ウォーキングは一日30分を目安に、特に時間帯は定めず、お腹を空かして美味しく夕飯が食べられることを目標に頑張りました。

外出の服装も「歩きやすい靴」を基準にコーディネートするようになったし、近場の用事にも車を使っていた習慣を改め、バックパックを背に歩いて出掛けるようにしました。

 

ウォーキングの効果はメンタルの安定にも

ウォーキングをしていて気付いたのは、テンポよく歩いているときの、頭が活性化する感覚です。

歩いていると、いつの間にか気に掛かっていたことの思索が頭の中で始まっていて、それを解決するアイデアが、ふっと意識の底から浮き上がってくるようなことが何度もありました。

さらに気分がどんよりと澱んでいるときでも、歩いているうちに不思議と心が軽くなっていくような感覚も、幾度となく味わいました。

これは後で調べて分かったことですが、ウォーキングのような反復的でリズミカルな運動は「幸福ホルモン」とも言われる脳内物質「セロトニン」の分泌を促すそうです。

セロトニンにはストレスによる心のダメージを緩和する働きがあり、さらには頭の回転を早めて直観力を高め、精神の安定の鍵になる物質であるとも言われています。なるほど自身がウォーキングをしながら感じていた感覚はこれだったんだと大いに腑に落ちました。

女性は男性よりもセロトニンの分泌量が少なく、さらにその一部は月経に伴って経血とともに流出してしまうことも解っていて、セロトニンの不足は女性の情緒不安定や頭痛、めまい等の一因になっているそうです。これは「ためしてガッテン」で取り上げられていて知りました。

ウォーキング中の女性

セロトニンは日光を浴びることによっても分泌が促されるということなので、ウォーキングが女性には二重三重に良い運動であるということが理解できました。そのようにストレスから心と体を守ってくれる脳内物質の密やかな作用も、太りたいと願う私にはとても大きな助けになったと感じています。

 

スクワットを毎日するのは「超回復」に良い?悪い?筋肉痛で筋肥大

スクワットはテレビを観ながらとか、デスクワークの合間とか、とにかく暇があれば行なっていました。どこでも出来るし、眠気を覚ますのにも丁度いい運動です。

口から息を吐きながら膝と股関節が90度に曲がるところまで腰を沈め、その姿勢で静止して鼻から息を吸い、やはり息を吐きながら脚を伸ばしていきます。筋肉に力を込めるときに息を吐くのが基本です。

私の場合は8カウントで沈んで伸びる感じで行っています。このとき大腿前面の筋緊張が持続するように、膝を伸ばしきらずに動作を反復するのがコツで、筋肉を休ませず疲労物質の乳酸を生じさせることで筋肥大を促します。

スクワットをする女性の画像

スクワットを始めた当初は筋肉痛がひどく、とくに階段を降りるときの痛みには悲鳴をあげていました。筋肉痛は翌日と二日目までが強くて、三日目には概ねおさまる感じでした。

筋肉痛が生じるほどの運動をしたとき、筋繊維には細かな損傷が生じています。それによる炎症が筋肉痛の正体で、筋繊維はその状態から回復するときに、太く強くなります。

筋繊維が運動後の炎症を経て太く強くなるこの現象は「超回復」といわれていて、ボディビルダーなどの筋肥大にもこの作用が用いられています

筋に炎症が生じている「筋肉痛」の状況でさらに運動するのは、筋肉にとってあまり良いことではありません。不必要な炎症は筋肉の柔軟性を損なわせるので、炎症はなるべく速やかに終息させる必要があります。ですので筋肉痛は「超回復」に必要な休養のシグナルであると考えましょう。

日々スクワットを行っていると、徐々に太ももやお尻に筋力のついているのが良くわかりました。階段を一段飛ばしで駆け上がりたくなるような子供の頃の軽快さが、再び心身に戻ってきている感じもしました。

不思議なことに、行っていることはダイエットのようなことで、本当にこれで太れるのかなと、はじめは半信半疑でした。でも、好きな物を好きなだけ食べて良いというのがダイエットと異なる点で、確かに体を動かすとお腹も空いて、食事が美味しいと感じられるようになりました。

とはいっても元々が小食で、医師から胃下垂を指摘されたこともあったので、やはり一度にたくさんは食べられません。消化吸収が良くなるように、食べるものがすべて血肉になるようにと願いながら、体が欲しがるものを良く噛んで食べることを心掛けました。

 

健康的に太る間食とは?少食でも体重を増やす工夫

太るために無理をして食べる暴飲暴食型の努力をやめて、成人式で再会した太郎君の助言にもとづいて始めた私の「デブエット」でしたが、ウォーキングやスクワットなどの運動は私に「食欲」と「食べる喜び」を思い出させてくれました。

それと同時に想像以上に健康状態も良くなって、行動も思考も積極的になるなど、心の変化が自覚できるようにもなりました。でも、もともとの動機であった「痩せすぎを改善したい」という点については、体重は微増の状態で長く推移しました。

そこで、以前は自分に強いるように行なっていた間食でしたが、「食欲の出てきている今なら美味しく楽しめるのではないか」と再開することにしました。三度の食事も胃腸に負担をかけないように量は控えめなままなので、少量の間食は栄養を補う意味でも有意義かと考えました。

まず、筋肉量を増やすためにタンパク質は十分に摂取する必要があります。それには「ゆで卵」がとても便利でした。携行性もよく、一個が20円程度ですからとてもリーズナブルです。

ゆで卵の画像

タンパク質は私達の体内でアミノ酸として利用されますが、その中でも欠かすことのできない9つのアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれて、鶏卵はその必須アミノ酸をバランス良く含んでいます。

塩だけでも十分に美味しくいただける茹で卵ですが、私はマヨネーズを載せて食べるのが好きで、からしマヨネーズとか、たらこマヨネーズとか、バリエーションを工夫すると飽きずに楽しむことができました。

それと、そもそも私の体に最も足りないのが女性的なふくよかさで、つまりは脂肪が足りていないのですが、なぜか私の体にはそれが上手く付いてくれません。健康の話題では悪者にされることの多い脂肪ですが、健康に良い脂質について調べていて、間食として取り入れるにはナッツ類が良いことを知りました。ナッツに含まれる脂質は健康に良いとされる不飽和脂肪酸で、さらにミネラルや食物繊維、タンパク質、ビタミンB類なども多く含まれています。

加えて、これはもうナッツと混ぜこぜで携行しているのですが、ドライフルーツはオススメです。糖分が多いので取り過ぎはよくないのですが、疲れた時などは酸味と甘味がことのほか美味しく感じられて、気分転換には最適です。ビタミンやポリフェノールなどの豊富な栄養は美容にも良いですし、脂質と一緒に摂ることで吸収されやすくなる栄養素もあり、ナッツとは相性が良いです。

ナッツとドライフルーツの画像

そして、もともとの太りにくい体質を改善するために、近頃は健康的に太ることを目的としたサプリメントも試しています。生薬成分を取り入れているものなど、なかなか身近な食品では補えない部分もあると思うので、自身の潜在的な生命力を補強するようなイメージで利用しています。

 

究極の太る方法は?

健康的に太るため、ずっと悩んできた痩せすぎのコンプレックスを解消するために、食事と運動を軸として、サプリメントも利用するなど、同時並行的に「デブエット」の取り組みを行なってきました。その甲斐あって、現在は体脂肪率を示すBMIの値が18.5と、ギリギリではあるのですが標準とされているところまで、たどり着くことができました。

これはおそらく、食事だけを見直しても、運動だけを頑張っても、またサプリメントを利用しただけでも得られなかった結果だと、一通りの取り組みを行なってみた今では確信しています。

骨の浮いたデコルテをふっくらさせたくて、半袖の服を躊躇せずに楽しみたくて、無理に食べてお腹を壊して落ち込んだりしていたかつての自分。「そんなことをしていても辛いだけだよ」と、声をかけてあげたい気がします。

なので、これだけを頑張れば良いという「究極の太る方法」というのは、私には思いつきません。体のことは個人差もあるので、色々を試してみることも必要だと思います。私の場合、ウォーキングやスクワットなどの運動が、全てを好転させるきっかけになったことは確かだと思いますし、食事の見直しやサプリメントの活用も、太りにくい体質の改善に役立ったと実感しています。

 

最後に・・・

太郎くんはその後も時々「旨いものを食わしてやる」とか「花ちゃんを肥満にしてやる」とか言って私を食事に誘ってくれます。彼にも痩せすぎで悩んでいた時期があったので、気にかけてくれているのだと思います。

彼なりのお洒落だったスキンヘッドは、職場で半開きのシャッターに頭をぶつけて大出血して以来やめたそうです。頭から顔面にまで流血している彼を見て、職場の人達は「プロレスラーみたい」と言って笑っていたらしく、「ひどい連中だ」と思い返しては憤慨してみせる彼の頭には、今は髪がフサフサしています。

成人式の日、マッチョなインテリヤクザ風に豹変していた彼は「人は見た目じゃないよ」と言いましたが、彼といると「そうかもしれないなぁ」と、そんなふうに思う今日この頃です。

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